合間縫う腑に落ちない音楽

肩透かしのカタストロフィは続く

タレイア・クァルテット@安養院

とても満足したコンサートだったので、あえて言葉にするのも億劫だなと思ったけど、悲しいことに記憶というものは薄れてしまい、いつしか消えてしまうものなので、備忘録として。 プロジェクトQ・第16章のバルトーク弦楽四重奏曲シリーズ(2019年2月24日)で…

「すべての1PVは等価値」と信じる人が「こたつ記事」地獄に堕ちてゆく

そういえば「こたつ記事」については、年末に「すべてのメディアはこたつ記事に行き着く」という増田(はてな匿名ダイヤリー)がバズっていた。 anond.hatelabo.jp NHKの「ねほりんぱほりん」は、これを受けて作られたのだろうか。それにしては、放送するの…

「こたつ記事」は、足を使っても頭を使わない「ゲソ記事」より劣るのか? #ねほりんぱほりん

NHK「ねほりんぱほりん」の、こたつ記事特集を見た。 www.nhk.jp 「こたつ」という言葉は、会社から一歩も出ずにネットを検索して素材をかき集めて書くネットメディアを揶揄したものだ。 「こたつ」のポジティブな側面をなぜ見ない 番組は、著作権を侵害し、…

「醜態をさらすより、早く死んだほうがいい」と言われたユーミンの今をあなたは見たのか?

2020年の印象的なできごとのひとつに、朝日新聞「論座」の暴走があった。 筆者の選定からしてジャーナリズムを放棄した活動家が目につき、事実による検証という本来のジャーナリズムを続けている同じ会社の峯村健司さんなどが気の毒になった。 そんな筆者の…

SUZURIで「putoffsystem」オリジナルアイテム販売中

GMOペパポは運営しているSUZURIでオリジナルアイテムを販売している。筆文字や画は、2000年に岩下鉄くんがいしたにまさきくん宅で書いた拝借している。 ズッキュンが複数ついているものを並べてみる。 鶴馬 手帳型スマホケース // suzuri.jp なーん Tシャツ…

「Z世代は多様性を重視している」と宣うメディア関係者への疑問

最近、ネットメディアの関係者たちが、盛んに「ダイバーシティ」(多様性)や「インクルージョン」(包摂)という言葉を使っている。 Z世でニュースに関心がある人と話すと、海外経験がある人や留学を考えている人が多くて、そういう人は国際ニュースやダイ…

ジャーナリズムとは「思い込みを事実で覆すこと」であり、活動家とは真逆のやり方のはずである。

コロナ禍の影響もあって、2020年は過去最高のPVを記録したネットメディアが多かったようだ。Zホールディングスの上期決算によると、ヤフーなどの運用型広告の売上収益は前年同期比で19.6%も増えている(下図のYDNは「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク」…

「未来の国では、全員アマチュアの時代が来る」(ロラン・バルト)

YouTubeの醍醐味は、なんといってもアマチュアの投稿だ。 私室の一角で、他人の眼を意識せずに、たったひとりで撮った動画がいい。そして、それをひとり覗き見するようにして視聴するのは、特に楽しい。 もちろん、プロが作り込んだミュージック・ビデオを繰…

LGBTやリベラルが「結婚というシステムは古い」とお気持ちだけで文句言っても、たぶん国は本気で取り合わない

非公開になっていた記事が新DANROでいくつか再掲載されたので、久しぶり反省会をやります。 最新の記事から、“平成の終わりに浅田彰『逃走論』を読み返す”を。 danro.bar 先日、ツイッターを見ていたら、同性愛の視点から、ヘテロを前提とした「結婚」という…

ようやくアベノマスクの現物に接した際の(好意的な)感想

明日には緊急事態宣言が解除されるといわれる日に、滑り込みでマスクが届きました。文面をみると「みなさまへ」と呼びかけ、不要不急の外出を避けるよう頼んでいます。 なるほど、テレビもネットもみない人がいますし、政府から全国民に直接メッセージを伝え…

シェーンベルク「浄められた夜」は美しい音楽への別れのラブレター

きょうは37.5度の熱が出て午後は半休をとったのでもう寝ようと思いながらもアレやってなかったので起きて書くことにします。スコア(総譜)ってブックに入るんでしたっけ? #ブックカバーチャレンジ 在宅勤務も2ヶ月半を超えた今日このごろですが、今年1月に…

村井瑞枝「図で考えるとすべてまとまる」は自己啓発書より遥かに有用なビジネス書

もうすっかり時間泥棒と化している #ブックカバーチャレンジ の4日目。ところで私の対外的な肩書きは編集者ですが、本音を言うとそのような自己認識は弱い。許されるなら「会社員」と名乗りたいくらいです。 それは会社から給料をもらっているからというより…

池田晶子「残酷人生論」でコロナ騒動のほとぼりを冷ます

いつの間にか普通の書籍紹介になってしまったので、3日目にしてもうしんどくなってきた #ブックカバーチャレンジ。なるほど簡単に続けられるから表紙だけアップするルールになっているのね、と納得するも後戻りはできません。 きょうは先日久しぶりに引っ張…

「世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田につくった男はなぜ忘れ去られたのか」について私が知っている二、三の事柄

「読書文化の普及に貢献するため」とかいう言い訳で表紙を無断転載させる著作権侵害ギリギリの #ブックカバーチャレンジ 1日目は写真論に見せかけて母の喪を語るロラン・バルトだったので、2日目は個人的な記憶に絡めた題材を探してみました。 岡田芳朗さん…

ロラン・バルト「明るい部屋」のブックジャケットについて

一部で顰蹙を買っている #ブックカバーチャレンジ のバトンがついに私のところにも来ました。もちろんあえてのことだと思いますので甘んじて受けます。 私に渡したKさんへの抗議の悪態は明日以降に回すとして、初日はロラン・バルトの「明るい部屋」(花輪光…

ニュースなどしょせんは「情報消費の娯楽」に過ぎない

音声メディアVoicyでパーソナリティをしている亀松太郎さんと対談させていただきました。テーマは「ネットメディアのキャリアとは?」。あらためて聴いてみると僕はほんと話がヘタで、駄目だなあと反省しています。頭の回転が悪いんでしょうね。 おわびに私…

「インタビュー記事」の作り方

誰かに何かを教える立場には、決してなるまいと思っていた。でもこのところ、ネットメディアの乱立によって、ちゃんとした環境で教育されたり鍛えられたりしていない人間が、ライターや編集者(そして編集長!)を堂々と名乗るケースがかなり目につくように…

東浩紀「平成という病」への疑問

東浩紀の「平成に入る直前の日本は大きな可能性を秘めた国だった」という認識は、ちょっと信じられないんだけど、これが数歳の差というやつなのか? 確かに昭和の終わり、日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」ともてはやされた。東も、こんなことを書いて…

スクリャービンのピアノソナタ第5番聴き比べ

スクリャービンのピアノソナタ第5番(1907年)をいろんなピアニストで聴き比べ、その違いについてメモして気を紛らわすことにする。 同じ曲を違う人の演奏で聴く意味 考えてみればクラシック音楽というものは奇妙なもので、作品として残っているものは楽譜と…

ぼくのかんがえたさいきょうの「朝日新聞」改革案

あるメディアから連載の依頼があったので、サンプルとして提出したら、「サイトのスタンスとしてリベラル、安倍政権批判みたいなところは一貫させたい」ということでボツになった原稿を掲載します。 先日、朝日新聞社の鮫島浩氏がツイッターでこんな投稿をし…

「解像度を上げる」ということ

The Basket of ApplesDate: c. 1893 Artist: Paul Cézanne French, 1839-1906 さいきん「解像度」という言葉を使う人が増えて、共感することが多い。 日常の解像度をあげろ。解像度をあげ、世の中に満ち満ちている理不尽さや変わらない非人道的な仕組みに怒…

のん(能年玲奈)さんが語りをした武満徹「系図」のCDが届いた

のん(能年玲奈)さんが語りをした武満徹「系図」のCDが届いた。一度聞いて、この曲の新しい演奏史ができたなとうれしくなった。 www.amazon.co.jp これから繰り返し聴くことで新たな感想が生まれたら追記するけど、第一印象としては、このキャストは大成功…

SNS時代に「バカ舌」どもが自分の「好み」だけでベラベラとモノを言えるようになったことについて

第11回目のDANROの連載が公開されました。 danro.bar Yahoo!に配信された分についた2つのコメントが印象的だったので、ピックアップしておきたい。1つはこれ。 あの料理にはこの酒、これにはそれと、あーだこーだ言う人もいるが、結局好きな食べ物と好きな酒…

福島の日本酒14種類を実際に飲んでリストアップする

新しいDANROのコラムが公開された。少し間が空いたのは編集部の都合。 *JR福島駅周辺で「ふくしまの日本酒」をたらふく飲んで日帰りした話(リンク切れ。再公開日未定)。 今回も無計画、場当たり的な(私の人生そのもののような)旅について、単に時系列で…

遠野凪子の「系図」に思うことなど

*「#のん さんによる #武満徹「Family Tree」への期待」を改題。 のん(能年玲奈)さんが武満徹の「系図」の語り手をつとめる録音の発売が、この10月に決まったとネットで話題になっている。 www.barks.jp 初演以来、20年以上にわたってこの曲の価値を訴え…

バルトークの弦楽四重奏曲第5番の謎を解く

結論から書くと、バルトークの弦楽四重奏曲第5番(1934年)は、ベートーヴェンの交響曲第5番(1808年)にインスパイア(触発)されて書かれたのではないか、という仮説である。その理由を3つあげる。 なお、この説はよそでは見たことがないので、自分のオリ…

BBC「Proms」の過去の演奏会で最も視聴されているYouTube動画は何か?

前回、プーランクの動画を探索する過程で、「BBC Proms」の動画をピックアップした。その後、ふと確かにイギリス人は、クラシック音楽のエンタメ化に成功していることに気づいた。 プロムスの解説はWikipediaに譲るが、要するにBBCがスポンサーになったプロ…

プーランク「六重奏曲」をコンサートホール以外で演奏する試み

クラシック音楽をカッコよく撮る方法について、とりとめもなく考えてきたのだか、不図したことで面白い動画に出会った。 曲はフランシス・プーランクの「六重奏曲」である。ピアノと4本の木管楽器(フルート、クラリネット、オーボエ、ファゴット)、それに…

YouTubeにおける弦楽四重奏の扱いの現状

きのうは「クラシック音楽をカッコよく撮る」などとイキってしまったが、実は実態をよく把握していなかった。新しい市場を作るのだから、市場調査に振り回されてもしようがないのだが、やはり現状は知っておくべきだ。 ということで、YouTubeで「String Quar…

クラシック音楽をカッコよく撮る

まだみんなに知られていないけど、エクストリームな天才が作ったクラシック音楽はイケてるし、カッコいい。もっと知られるべきだ。 幸い日本はまだ豊かなので、育成に無茶苦茶コストのかかるクラシック音楽の演奏家が、たくさん存在している。優れた若手のプ…